恋の魔法と甘い罠
「これって、俺らが出した分なんだな」



画面を覗き込んでそう呟いた和泉さん。


こういう経費を使うのは、ほとんどが営業の人たち。


主任という立場にいる和泉さんが直接それらを持ってくることはないけれど、営業からきているということは、和泉さんが使っている分もたくさんあるんだろうと思う。



「あとどれくらいかかる?」


「えっ」


「だから……それ、いつ終わるの?」



一瞬何を言われたのかわからなかったけれど、画面を指差しながらそう言った和泉さんを見て、仕事のことだと気付き、手元にある領収書を手にとってパラパラと捲る。


集中してやれば多分……



「あと、10分くらい……かな」


「そ。……じゃあ待たせてもらうよ」



和泉さんはそう言って、隣の椅子を出してそれに深く背中を預けるようにして腰掛けた。
< 69 / 357 >

この作品をシェア

pagetop