恋の魔法と甘い罠
だけど、突然俯いてしまったあたしの顔を覗き込むように顔を近付けてきた和泉さん。


それと同時に



「玲夢?」



なんて、名前で呼んでくるから、さらにどきどきが大きくなっていく。


とりあえずこの大きな音を鎮めるために、この近すぎる距離をどうにかしたくて、椅子のキャスターを利用して、すすす、と後ろに下がりながら



「……近すぎます」



呟くようにそう言うと、和泉さんは、ふっ、と笑みを漏らした。そして――



「もう終わったんだろ? 早く帰ろーぜ」



そう言いながら立ち上がって椅子を元に戻した。


そんな動作を視界の隅に入れながら、あたしもパソコンの電源を落として帰り支度をする。



「このあと予定は?」



デスクの上を整えてからバッグを手に取り、ドアの方へ足を進め始めたと同時に飛んできた声。
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