恋の魔法と甘い罠
そのまま中に入って、空いているカウンター席に並んで座った。


向かい合って座るなんて表情のひとつひとつを読み取られそうで嫌だなぁなんて思っていたから、この座り位置にほっとしながらメニューを開く。


とりあえず生を2つと料理をいくつか注文した。


そしてすぐにやって来たジョッキをコツンと合わせるようにして



「乾杯」



と言う和泉さんに



「何に、ですか?」



無意識にそんなことを訊いていて。



「んー、何だろうなぁ」



和泉さんはそう言って少し考え込むように瞳を伏せる。


でもすぐに思い立ったようにパッと顔をあげた。



「やっぱり……2人きりの時間に……」



そのままあたしに視線を絡ませると同時に、口の端を吊り上げて、ニヤリ、という声が聞こえてきそうな意地悪な笑みを浮かべながら「だろ?」と口にする。


その言葉で、和泉さんの腕の中で目覚めたあの日のことを思い出して、顔中がカッと熱くなった。
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