【完】短編集~幼馴染み~
「げ、唯人…」

あたしたちのいたほうと逆側に、唯人の姿があった。

「お前、振られたんだ?」
「振ってない。むしろあっちから告白してきたんだから、こっち振る側なんだけど」
「じゃぁ、なんで、んな顔してんだよ」
「そんな顔って…」
「泣きそうな顔、してんじゃん」
「ち、違うっ。ただ、想像と違ったって言われて、悔しいだけ。
どうせ大人しくないし、可愛くないし、ふわふわしてないわよっ」
「なーんだ。お前も同じかよ」
「…え??」
「俺もさ、あの後輩に言われた。
“唯人先輩、思ってたのと違いました…。もっと、紳士的な人だと思ってたんですけど。ごめんなさい、告白なかったことにしてください”だってさ」

唯人、まるっきりあたしと一緒じゃん…。

「ホント、ムカつくよな。勝手に好きって言っといて、想像と違った、とか。
勝手に俺のキャラ作んなっつー話だよ」

考えてることまで一緒とか…。

「プハッ」
「なに笑ってんだよ」

そう言って、唯人がデコピンしてきた。

「いったぁ!ただ、ウチらホント一緒すぎだよな~って」

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