セックス·フレンド【完結】
「この指輪、とっても素敵」


初め、竹内ミキは驚いた顔をしたが、すぐにぱぁと明るく表情をくずし、手をかざして見せてくれた。



「これ、ハワイアンジュエリーなんです」



「へぇ…」



よく見ると、リングにはハイビスカスや植物の細かい模様がほどこされていた。



「可愛い。恋人からの贈り物ですか?」


引きつった笑顔で訊ねたあたしに、彼女は照れくさそうにはにかみながら、


「一応、ペアリングなんですよ」



そう答えた。


ずっと握りしめていたハートのチャームから、手がするすると落ちていく。


「…どこで売ってるんでしょう?あたしも、恋人にねだろうかな」


抑揚のない口調で言ったあたしに、彼女は、


「去年、彼とハワイへ旅行した時に買ったので、このあたりでは、どこで手にはいるか…。でも、ネットなんかじゃ、簡単に探せるんじゃないでしょうか」


と、親切に教えてくれた。


頭を鈍器で殴られたような強い衝撃が襲った。



ペアリング
ハワイ旅行…


「あ、色々ありがとうございました。今日は時間がないのでこれで…」


あたしは、逃げるように店を飛び出した。
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