セックス·フレンド【完結】
「雨、すごかったな」


思い出の世界から、あたしを引き戻したのは、隆也の穏やかな声だった。


「だから、雨だよ。海についたとたんの土砂降り」


「…うん」


低く柔らかな声が、あたしの頭蓋骨までも震わせる。


「あのあと、美杉の機嫌が悪くなって大変だった」


「ごめん」


「いや、悪いのは、突然降った雨だよ。雨のバカやろーだ」


隆也が笑った。


相変わらず、彼は優しかった。


優しすぎた。



今思えば、あの日の空模様は、まるで、これからのあたしたちの未来を見透かしたような天気だった。


晴れ渡った空が、暗雲に覆われ、やがて、泣いたように激しい雨が降り注ぐ。


神様は、こうなることを知っていたのかもしれない。
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