セックス·フレンド【完結】
「愛して…るのかなぁ?」


独り言のように隆也は呟いた。


「愛して…ないの?」


期待してはいけない。


そう自分に言い聞かせたものの、やはりあたしは、どこかで期待していた。


「俺が愛してるのは美杉だよ」


そう昔みたいに隆也に言われるのを、つかの間だけれど夢見た。


「でも、まぁ、嫌いじゃないから一緒にいるんだろうな」


隆也の出した結論は、こうだった。


あたしの夢は、あっけなく砕けた。


嫌いじゃないから一緒にいる。


それは、やはり彼女のことが好きだということだ。


でも…。


隆也はあたしを好きだと言った。


美杉がいるからいいとも。


なら、どうして彼のそばにいるのは、あたしではいけないのだろう?


あたしは、シーツで隠れたこぶしに力を込めた。


手の平に、ぎりぎりと爪が食い込んでいく。


燃えさかる嫉妬の炎に、身も心も焼かれる。
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