セックス·フレンド【完結】
「どうした?」


うつむき加減のあたしを隆也が覗き込む。


「寒い?なんだか顔色が悪いみたいだけど」


そう言って、隆也はむき出しになった素肌にシーツを巻いてくれた。


この優しさをあたしだけのものにしたい。


彼があたしを気遣えば気遣うほど、優しくすれはばするほど、あたしはどんどん貪欲になっていく。


もっと、もっと。
あたしだけを、見て。
あたしだけを。


もう、あたしは、あたしを止められない。


「美杉?」


隆也の両手があたしの頬を包む。


かつて、この手の温もりは、あたしだけのものだった。


でも今は違う。


こんなにも暖かいのに、心が凍てつくように冷たいのはなぜか。



「なんだか、彼女に申し訳ないなぁ。可哀想…」


これぐらいの意地悪は言わせてほしい。



そう思い、ゆっくりと顔をあげると、そこには、想像以上に傷ついた顔した隆也がいた。


彼は、誰を思い傷ついているのだろう?


答えは当然知っていたけれど、あたしは、それを認めたくはなかった。
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