セックス·フレンド【完結】
「山へ行ってみないか?」


「山?」



「うん。紅葉を見に」



紅葉か。



平日の昼間、山へ紅葉を見に行くのなら、ばったり知り合いに遭遇する確率も低い。


「いいね。ドライブ」


「うん。あの時のリベンジ」


「あの時?」


「ほら、海だよ。雨が降って、台無しだった。だから、次は山でリベンジだ」



なぜ彼は、こんなにも無邪気にあたしを傷つけるのだろう。


あの頃のあたしたちは、恋人同士だった。


でも、今は違う。


そんな言い方をされたら、あたしは、またあの頃に戻れると期待してしまう。


「楽しみだな」


チョコレートみたいに甘ったるい笑顔にとろけそうになる。


「うん。晴れるといいね」


やっぱり、嬉しい。


「きっと、晴れるよ」


きっぱりと隆也は言い切った。


その優しい眼差しに見つめられると、胸にかかったもやもやが、うそみたいに引いていく。



もしかしたら、期待してもいいのだろうか?
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