セックス·フレンド【完結】
その後、あたしたちは渓流を下った。


何人かの観光客とすれ違ったものの、山は静かで、あたしたちは、人がいなくなると何度もキスを交わした。


小鳥のさえずりや、小川のせせらぎに、いちいち感動した。


ぬかるみに足を取られてお気に入りのスニーカーに泥が跳ねても、立ち寄ったお土産屋の団子がまずくても、それすら、おかしかった。


いつもは空が茜色に染まると、もうすぐサヨナラの時間だと憂鬱になるのだれど、今日は、まだ一緒にいられる。


信じられなかった。
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