セックス·フレンド【完結】
「美杉、どうした?」


蕎麦を箸に引っ掛けたままぼんやりしていたあたしを隆也が覗き込む。


「何でもない」


「疲れてるんじゃない?もし、あれなら、もう送ろうか?」


「まさか!全然平気」


とんでもない。


あたしは急いで残りの蕎麦を口に運んだ。隆也の丼の中は、すでに空っぽだった。


余計なことを考えるより、今は一分一秒でも長く隆也と二人きりの時間を楽しもう。


そう思って、店員が運んできた蕎麦湯を断ろうとした時、隆也の携帯が鳴った。


画面に目を落とした彼は、あたしに向かって人差し指をたてた。


すぐに理解した。


電話の相手は、恋人なのだ…。
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