セックス·フレンド【完結】
「美杉、怒ってる…よな?」


恐る恐るといった感じで、彼は訊ねた。


怒っていた。


あたしを好きだと言いながら、結局は恋人の元へ帰っていく隆也にも、今日に限って熱を出した恋人にも。


でも、あたしは…。


「ううん。お腹いっぱいになったら、眠くなっちゃったの」


そう、答えた。


「そっか。着いたら起こすから、少し眠ったら?」


隆也はほっとした顔で、前を向いた。


行かないで、あたしのそばにいて。


喉まで登りかけた言葉は、でも、どうしても言えなかった。
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