甘い罠
考えてみたら、もし事故以前に作られていたとしても、その後開いていれば日時なんてすぐ変わってしまう

あてにならないのだと気づき、ほっとしたような、がっかりしたような気持ちに瑠璃はなった


瑠璃はしばらく呆然としていた

今自分は、何を考えているんだろう
木村を疑っているのか

まだあの資料の杉山孝雄という人物が、転落死した杉山とは限らないのに…


まだ付き合いは浅いとはいえ、木村のことを信用していない自分に嫌気が差してきた


でも確かめたかった

ちゃんと、勘違いであると証明したかった


瑠璃は、もう一度茶封筒から写真だけ取り出すと、プリンターでカラーコピーをした

写真と茶封筒をもとあった場所に戻し、カラーコピーした紙を自分のバッグにしまった

碧に見せて、この写真の中に杉山がいるか確かめてみようと考えた

炊飯器をタイマーにセットし、お茶漬けの薬味を準備した

カーテンレールから紺のスーツを持つと、パソコン周辺がもとあった状態か何度もチェックし、瑠璃は木村の部屋を出た



すぐにでも碧に会って、写真の中に杉山がいるか聞きたかった
しかし…

瑠璃は碧を信用していなかった

もしこんなことを瑠璃から聞かれたなどと、碧が木村に喋ったら…

そして、すべてが自分の勘違いだったら、疑われた木村はひどく不愉快になるだろう

しかも、勝手に封筒の中身を見たことや、パソコンを触ったことも分かってしまうことになる

碧には聞けない…

カラーコピーした写真を見つめ、瑠璃はため息をついた

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