甘い罠
「図書館で調べたらいいんじゃないです?

新聞記事まとめてるのがあるはずですよ」

菜々子は相変わらずの淡々とした口調で言った


自宅に帰った瑠璃は、携帯としばらくにらめっこしていた
電話帳画面を呼び出し、瑠璃がかけた先は、同僚の菜々子だった


「私その事故の記事読んだって言いましたけど、確か名前載ってたはずですよ」

なるほどと瑠璃は思った





翌日仕事を終えた瑠璃は、早速図書館へ向かった

図書館なんて学生のころ以来だった

何か会員にでも入らないといけないのかと思っていたが、受付にいた女性は「こんにちは」と声をかけたきり、瑠璃を見ることはなかった


新聞の記事をまとめたものは出入り口近くにあり、すぐに分かった

学生が固まっている席を避け、瑠璃は食い入るように記事を探した

普段スポーツ新聞さえ読まない瑠璃は、どういう形で記事が書かれているのか検討もつかなかったが、見つけた事故の記事は本当に小さいものだった


《8月14日 午後16時頃 △×商社勤務 杉山孝雄さんが、会社の非常階段から転落し死亡。―――》

杉山孝雄…


やっぱり…と瑠璃は思った

木村は、あの日自分と同じ日に非常階段から転落して亡くなった杉山のことを調べていたのだ

どうしてだろう?
1日おいた瑠璃は、冷静になって考えてみた

あの用紙を見た時、瑠璃の頭に浮かんだことはこうだ

木村と杉山は何かしら繋がりがあった
仕事のトラブルか何かは分からないが、2人の間に諍いのようなものが起こり、木村の周辺を探った杉山が、計画的か衝動的にかは分からないが、杉山を非常階段から突き落とした
 
そうであれば、恐らく衝動的にだろう
計画的であれば、会社の非常階段なんて目立つ場所を選ぶはずがない










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