甘い罠
「木村さんを疑ってるの?」という瑠璃の問い掛けに、菜々子は視線を逸らし首を振った


「可能性はあるってことです」


菜々子の顔は真剣だった

鼓動が早くなり、急に瑠璃の心に暗雲が立ち込めた


「そんな…

嘘ついているようには見えないけど」


「もちろんその可能性の方が大きいとは私も思ってますよ」

不安そうは瑠璃を、励ますような口調で菜々子は言った


「殺す気が初めからあれば、あんな目立つとこではまずしないだろうし

衝動的に突き落としたんなら、自分まで転落して隠ぺいするってちょっと考えにくいし…

もっとマシなこと考えそうですもんね


それに何より、人殺した人が、のん気に誰か紹介して、なんてこと言うとは思えませ
んからね


ただ私が引っ掛かるのは…

その記憶がないってのがどうもね
怖い気がするんです」





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