甘い罠
帰りの電車に揺られながら、菜々子の言葉を瑠璃は思い返していた

そもそも木村の記憶がないというのは、どの程度のものなのだろうか

瑠璃はあまり詳しく聞けずにいた

どっちにしろ、菜々子と木村を会わせるのは、もう少し自分と木村の仲が深まってからにしようと瑠璃は考えていた


木村は意外とマメで、平日もよくメールや電話をくれた

(おはよう、今朝は二日酔いだよ。
瑠璃ちゃんも仕事頑張って)
とか、至って特に内容のないメールだが、それでも誰かが自分のことを気にかけてくれてるというだけで、瑠璃は嬉しかった

今週末、映画を観に行く約束をしている

このままこうしてお付き合いが続いて、いつか結婚ということになれば、どんなにかいいだろうと瑠璃は密かに夢みていた

だからこそ、早く木村の記憶が戻って、真相がはっきりしてくれたらいいと、切に願うのだった

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