甘い罠
化粧品コーナーを抜け、角にあるエレベーターホールへと向かう途中、突然木村が「あれっ?」と言い振り返った

知り合いでもいたのかと、瑠璃も木村と同じ方向に目をやった

目の前は、女性向けの髪飾りやピアス、香水などが陳列されたコーナーがある


「どうしたの?」
瑠璃は木村の顔を見た

木村は立ち尽くし、しばらく黙っていたが、「あれ、この匂い…」と呟いて、陳列棚に歩み寄った

サンプルで置いてあるいくつかの香水を手に取り、匂いを嗅いでいる

瑠璃は黙って木村の顔を見ていたが、なんとなくいい気持ちはしなかった

知っている匂いでもあったのだろうか?
でもここは、女性向けの香水ばかりが陳列されているコーナーだ

「懐かしい匂いでもあった?」

瑠璃は、ほんのり嫌みを含めて聞いてみた


「いや、そうじゃないんだ…

ほら、前言ったろ?
非常階段で女の人とぶつかったって…

その時にその女が付けてたのとおんなじ匂いがしたんだ」

木村は次々と香水のサンプルの匂いを嗅いでいる

陳列されている香水は、どれも人気のあるものばかりだ









「」
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