甘い罠
木村は今朝もギリギリまで寝ていたのだろう

ベッドの布団は、木村が飛び出したままの状態で、掛け布団が大きくめくれている

肌寒かったが、窓を開けて空気を入れ換えた

布団を正し、パソコンの周りの散らばっている資料や雑誌をまとめた

テレビを点けて、とりあえず自分の為にコーヒーを淹れると、しばらく夕方の報道番組に見入っていた

そういえばと、木村にクリーニングを頼まれていたことを思い出した瑠璃は、クローゼットを開けて紺のスーツを探した

クローゼットの中はスーツがほとんどで、端の方に冬用のロングコートや、ジャンパーが掛けられている

紺のスーツはすぐ分かった

防虫剤か湿気取りのような匂いが鼻についたので、クローゼットの扉を開けたままにして、再び瑠璃はテレビに見入っていた

座った高さからクローゼットを見ると、下の方の隅には、もう着なくなったと思われる衣類が、紙袋に詰められて一つ置いてある

その紙袋と壁との隙間に、A4サイズくらいの茶封筒がたてかけてあることに瑠璃はふと気づいた





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