甘い罠
紙面の文字を、瑠璃は慌てて追っていた

2枚目の紙には、杉山孝雄の出身地から生年月日まで書かれてある


杉山孝雄って、あの杉山だろうか?
碧と付き合っていた、あの転落死した杉山のことだろうか?

どうみても、これはパソコンで木村が自分で作成したものに見えた

どうしてこんなものを…? 

ひょっとしたらこの写真の中に杉山がいるのだろうか?

肌寒いはずなのに、背中から冷や汗が滲む感覚を瑠璃は覚えていた




瑠璃は、テレビの中の女性アナウンサーの声を、画面を見ずにしばらく聞いていた

写真を手にしたまま、しばらく動けずに座りこんでいる

しかし、急に大したことではない気がしてきた

思い込もうとする感覚にも似ていたかもしれない
自分が考えているようなことでは全然ないんじゃないか

そんな気がして、急に冷静を取り戻した

茶封筒に用紙と写真を入れ、元あった場所に戻した

クローゼットから紺のスーツを取り出すと、カーテンレールにそれをかけた

クローゼットはピシャリと締めキッチンへ行くと、お米を研ぎ始めた


蛇口から真っ直ぐ流れ落ちる水を見つめながら、瑠璃は木村との会話を思い出していた


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