ヘタレな彼氏と強気な彼女
「うわあ……すごい」
綺麗だね、とかうっとりとして言えないところがまた私なんだけど、感嘆の一言は一輝を満足させたようだった。
連れて行かれた場所はビルの最上階にある展望レストランで、ちょうど沈んでいく太陽が見える席。
「こんな席、どうやって? 予約しなきゃいけないんじゃないの?」
周りのテーブルも全部埋まってて、外にも待っているお客さんが並んでいた。
それなのにまっすぐ案内されてきたから、こっそり一輝に訊ねる。
「しかもメニュー全部すっごく高いんだけど、大丈夫?」
フランス語で書かれたメニューの値段を見てあせる私に、一輝は眉を寄せてメニューを取り上げた。
「お前はそんなこと気にしなくていいんだよ。ほら、貸してみな」
出産で休んでいる先生の代わりに臨時教員になったばっかりの一輝に、そんなお金あるはずないのに。
さすがに不安になるけれど、一輝はあくまで強気だった。
いつの間に用意したのか、ちゃんと黒いジャケットまで着ていて、堂々とした態度は高級レストランの雰囲気にも全く負けていない。
フランス語で書かれた料理の名前もなぜかわかるらしく、すらすらと注文していく。
綺麗だね、とかうっとりとして言えないところがまた私なんだけど、感嘆の一言は一輝を満足させたようだった。
連れて行かれた場所はビルの最上階にある展望レストランで、ちょうど沈んでいく太陽が見える席。
「こんな席、どうやって? 予約しなきゃいけないんじゃないの?」
周りのテーブルも全部埋まってて、外にも待っているお客さんが並んでいた。
それなのにまっすぐ案内されてきたから、こっそり一輝に訊ねる。
「しかもメニュー全部すっごく高いんだけど、大丈夫?」
フランス語で書かれたメニューの値段を見てあせる私に、一輝は眉を寄せてメニューを取り上げた。
「お前はそんなこと気にしなくていいんだよ。ほら、貸してみな」
出産で休んでいる先生の代わりに臨時教員になったばっかりの一輝に、そんなお金あるはずないのに。
さすがに不安になるけれど、一輝はあくまで強気だった。
いつの間に用意したのか、ちゃんと黒いジャケットまで着ていて、堂々とした態度は高級レストランの雰囲気にも全く負けていない。
フランス語で書かれた料理の名前もなぜかわかるらしく、すらすらと注文していく。