ヘタレな彼氏と強気な彼女
「かっ、一輝……? だ、大丈夫?」
数秒してからやっとそう訊ねた私に、一輝はきょとんとした顔で振り返る。
「大丈夫って何が? ああ、疲れ気味ってこと? 大丈夫だよーただ昨日遅くまでテストの採点してたからさ。寝不足なだけ。それよりもどうしたの? 千歳のほうが顔色悪いよ?」
いつもの一輝だ。何も変わりない。
「――よかった」
小さく呟いて、やっぱりインチキ商品だったんだと胸を撫で下ろした。
損はしたけど、変な薬じゃなくてよかった。
あとでカードの金額、確認しておかなきゃ、とか現実的なことを考えていた私の後ろで、ガタンと大きな音が響いた。
「あっ、あれ……一輝!? どうしたの? どっか痛い!?」
見たら一輝が椅子のそばに座り込んでいて、なぜか苦しそうに頭を押さえているのだ。
「どっ、どうしよう。やっぱり変な薬だったの? 一輝、大丈夫? しっかりして! 一輝っ!」
あわてて揺さぶっても反応はなくて、本気であせり始めた私の手を、ふいに一輝が握った。
「大丈夫だよ、千歳」
目を開けた一輝が答えたから、ほっとしてしがみつく。
「よかったあ、一輝……一輝がどうにかなっちゃったらどうしようかと思ったよ」
思わず呟いた私の頭を、一輝が撫でた。
「心配ないよ。千歳は本当に心配性だな――まあ、そんなとこが可愛いんだけど」
数秒してからやっとそう訊ねた私に、一輝はきょとんとした顔で振り返る。
「大丈夫って何が? ああ、疲れ気味ってこと? 大丈夫だよーただ昨日遅くまでテストの採点してたからさ。寝不足なだけ。それよりもどうしたの? 千歳のほうが顔色悪いよ?」
いつもの一輝だ。何も変わりない。
「――よかった」
小さく呟いて、やっぱりインチキ商品だったんだと胸を撫で下ろした。
損はしたけど、変な薬じゃなくてよかった。
あとでカードの金額、確認しておかなきゃ、とか現実的なことを考えていた私の後ろで、ガタンと大きな音が響いた。
「あっ、あれ……一輝!? どうしたの? どっか痛い!?」
見たら一輝が椅子のそばに座り込んでいて、なぜか苦しそうに頭を押さえているのだ。
「どっ、どうしよう。やっぱり変な薬だったの? 一輝、大丈夫? しっかりして! 一輝っ!」
あわてて揺さぶっても反応はなくて、本気であせり始めた私の手を、ふいに一輝が握った。
「大丈夫だよ、千歳」
目を開けた一輝が答えたから、ほっとしてしがみつく。
「よかったあ、一輝……一輝がどうにかなっちゃったらどうしようかと思ったよ」
思わず呟いた私の頭を、一輝が撫でた。
「心配ないよ。千歳は本当に心配性だな――まあ、そんなとこが可愛いんだけど」