秘書室の言えなかった言葉
「あっ、園田さんっ!倉木さん達、来ましたよ!」


そう言うと、後輩は私の背中を押す。

その勢いで、私は英治の前に。


「綺麗だね」


そう褒めてくれたのは、英治と一緒に来た社長。


「ありがとうございます」

「なんで、真人が俺より先に言うんだよ」


小声でそんな事を言って、拗ねている英治。

仕事の時は当たり前だけど、周りに人がいる時は、仕事中じゃなくても社長に敬語の英治。

今、周りに人がたくさんいるのに英治が素な事に驚いていると


「英治、何か言った?」


と、社長は楽しそうな顔をしている。


「別に何も言っていません」


一応、普通に装っているけど。

なんか、機嫌悪そう……

その時、ちょうど教会の扉が開く。

そして、私達来場者は教会の中へ案内される。

社長の後ろに私と英治は並んで歩く。


その時――…


腕を掴まれ、ぐいっと引っ張られ


「知里……。今日の服、似合っている。すごく綺麗だよ」


英治は耳元で囁く。

いきなりそんな事を耳元で囁かれ、自分でも顔が赤くなるのがわかる。


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