秘書室の言えなかった言葉
告白される事には慣れていたけど、あんな告白は初めてだよな。


そんな事を考えながら、俺は秘書室へ戻る。

秘書室のドアを開けたと同時に


「くらきぃ……、ほんとは、ずっと好きだったんだよ……」


ハンカチで目元を押さえながら呟くように園田が言っていた。


「えっ……?」


予想もしていなかった出来事に、俺の頭はついていかない。


えっと……

今、俺の事、好きって言った?


ずっと、聞きたかった言葉。

その言葉を聞けて、嬉しいはずなのに、信じられない気持ちの方が勝っている。

だから、


「今の、本当?」


そう聞きながら、園田に近付く。

俺を見たまま、固まっていた園田。

俺が園田の側まで行くと、パッと身体ごと背けられた。

だけど、俺は園田の両肩を掴み、自分の方に向かせる。

そして、まっすぐ園田の潤んだ目を見つめ


「なぁ、今の言葉、本当?」


もう一度聞く。


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