恋をした悪魔
ナイフを落としたのは、力をなくして倒れた、
あのときに違いありません。
――取り戻さなくちゃ。
リリスは青年の制止を振り切って、家の外へ飛び出しました。
もう同じ過ちを犯すことはできません。
リリスは途中で見つけた毒草を体にすりつけて、
清らかな気を避ける盾としました。
そして不快な気配のする方角へ歩みを進めると、
あの湖のほとりにたどり着きました。
夜の闇の中、魔力で呼びかけますが、ナイフは答えません。
息苦しさに耐えつつ草を掻き分け必死に探していると、
いよいよ水の妖精に見つかってしまいました。
「また来たな、悪魔の出来損ない!」
全身で嫌悪を表す水の妖精に、リリスは身構えます。
「放っておいて。探し物を見つけたら、すぐに帰るわ」
「帰る?……彼のもとに?」
水の妖精のまとうオーラが、激しく闇夜を斬り裂きました。
「許さない!彼はお前なんかが触れていい人間じゃない!」