恋をした悪魔

――こんな顔を見られては、いくら馬鹿な人間だって騙せない。

――お父様の期待に沿えなかった私は、きっと消されてしまう。

震えるリリスの肩が

ふいに、湿った温度に包まれました。

「大丈夫だよ」

覚えのあるそれは、人間の体温。

リリスは青年の腕の中にいました。

「大丈夫、大丈夫だから」

青年は優しい声で繰り返します。



「なぜ、逃げないの」

――こんなに醜くなってしまったのに。

リリスの問いに、青年は穏やかに答えます。

「傷ついた君を1人にできない」

「私を拒んだのに」

「あれは、君が自分を大事にしていないように感じたから

悲しかったんだ。

君自身を拒んだわけじゃない」

青年の言うことがよく分からず、リリスは口を閉ざしました。

< 15 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop