恋をした悪魔
――こんな顔を見られては、いくら馬鹿な人間だって騙せない。
――お父様の期待に沿えなかった私は、きっと消されてしまう。
震えるリリスの肩が
ふいに、湿った温度に包まれました。
「大丈夫だよ」
覚えのあるそれは、人間の体温。
リリスは青年の腕の中にいました。
「大丈夫、大丈夫だから」
青年は優しい声で繰り返します。
「なぜ、逃げないの」
――こんなに醜くなってしまったのに。
リリスの問いに、青年は穏やかに答えます。
「傷ついた君を1人にできない」
「私を拒んだのに」
「あれは、君が自分を大事にしていないように感じたから
悲しかったんだ。
君自身を拒んだわけじゃない」
青年の言うことがよく分からず、リリスは口を閉ざしました。