恋をした悪魔
「まったく、君は見かけによらずおてんばだね」
しばしの沈黙を終わらせたのは、青年でした。
「そうやってすぐ怪我をして、心配させるんだから」
棘のある言葉と裏腹に、その声音は柔らかいものです。
「さあ、帰ろう。今は休んだほうがいい」
そして青年はリリスをそっと抱き上げ、歩き始めました。
――この男は、何を考えているのか、分からない……。
しかし、もう探るのも億劫です。
リリスはその身を青年の腕に委ねるしかありませんでした。