恋をした悪魔
それから、青年はリリスの傍を離れませんでした。
絵を描くことも放って、慰めの言葉ばかりを囁きます。
ずっと握られた手は、すっかり彼の温度になじんで、
人間の臭いが染みついて気持ち悪いはずなのに、
リリスはその無骨な手を振り払えません。
美しい女を前にしても、その肌を求めることはしないのに
おぞましく変わってしまった女を見捨てることもしない。
リリスの知る人間とこの青年は、まるで違う生き物です。
胸のもやもやは募っていきました。
水の妖精の深い怒りのせいか、魔力を使っても傷は治りにくく
リリスは顔を隠すようにベッドで丸まって過ごしていました。
ひもじいのに、青年が差し出すミルクが喉を通りません。
「僕が君にあげられるのは、これだけなんだ。
どうか僕と、君の体のために、飲んでくれないかい?」
そう乞われると、リリスはどうしようもなく不安定になります。
「私はいらない。あなたが飲めばいい」
突き放すつもりの言葉でしたが、そう言うとなぜだか青年は
さらにミルクを勧めてくるので、リリスは困惑するのでした。