恋をした悪魔
「そうだ、君を描こう」
リリスが絵から青年へ視線を移すと、彼は
少年のように目を輝かせていました。
「君は最高のモデルだから、きっと良い絵が描けるはずだ」
しかし、意気込む青年とは対照的に、リリスはうつむきました。
「この顔を描くの?」
白く細い指が触れる頬には、いまだ傷跡が色濃く残っています。
「ごめん……でも、大丈夫。
必ず君の気に入るように描いてみせるから」
強引に押し切られ、キャンバスの前に座らされたリリスは
気に入らなくて、ずっとそっぽを向いていました。
交わす言葉もないまま、昇った日が落ちるころ。
「君にプレゼントするよ」
スープ皿に収まってしまいそうな小さな額の中には
色白の女の横顔がありました。
伏せたまぶたは柔和で麗しく、唇は人間の温度を感じさせます。
「こんなの私じゃないわ」
苦笑いする青年の前で、リリスはひたすら絵を見つめていました。