恋をした悪魔

小鳥のさえずり、柔らかに射しこむ朝日。

かつては煩わしかったのに、今は心地よいもの。

「おはよう。調子はどうだい?」

無邪気な青年の笑顔。

かつては不快でならなかったのに、今は……。

それ以上を考えてはいけないと、リリスは目を閉じます。

「まだ眠たそうだね」

楽しそうに覗きこんでくる青年の気配に、目を開きました。

この顔を見るのも、今日が最後です。


リリスは、青年と1日を過ごしました。

今まで流れていった、たくさんの日々と同じ1日でした。

まるで、明日も変わらない今日がやってくる、

それが、ずっと続いていくことを疑いもしない、

そんな永遠の「今」でした。

「今日は、なんだか寂しそうな絵になってしまったよ」

キャンバスの中の女は、雨に濡れてうつむいていました。

これが青年にとって最後の作品になるのです。

笑ってばかりいる彼には似合わないと、リリスは思いました。

< 27 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop