恋をした悪魔
小鳥のさえずり、柔らかに射しこむ朝日。
かつては煩わしかったのに、今は心地よいもの。
「おはよう。調子はどうだい?」
無邪気な青年の笑顔。
かつては不快でならなかったのに、今は……。
それ以上を考えてはいけないと、リリスは目を閉じます。
「まだ眠たそうだね」
楽しそうに覗きこんでくる青年の気配に、目を開きました。
この顔を見るのも、今日が最後です。
リリスは、青年と1日を過ごしました。
今まで流れていった、たくさんの日々と同じ1日でした。
まるで、明日も変わらない今日がやってくる、
それが、ずっと続いていくことを疑いもしない、
そんな永遠の「今」でした。
「今日は、なんだか寂しそうな絵になってしまったよ」
キャンバスの中の女は、雨に濡れてうつむいていました。
これが青年にとって最後の作品になるのです。
笑ってばかりいる彼には似合わないと、リリスは思いました。