恋をした悪魔
闇に切れ目を入れたような細い三日月が浮かぶ夜が訪れました。
最期の晩餐は、特別な濃いミルクでした。
リリスは、それをゆっくりと味わいました。
床に就くころに、リリスは青年をベッドへ誘いました。
青年は、もう拒絶しませんでした。
青年の手は、大切なものに触れるように
リリスの形を確かめました。
気持ちの伝わる優しい温度に、どうしようもなく声があふれました。
ゆるやかに、育むように、2人は熱を分け合いました。
リリスは、数え切れないチャンスを見過ごしました。
闇色のナイフは、いつだって胸の中で研ぎ澄まされているのに
取り出すことができませんでした。
いや、しなかったのです。
あたたかい腕の中で、リリスは自覚しました。
――悪魔であることを、彼に知られたくない……。
――彼に、嫌われたくない……。
もう、分からないふりなどできませんでした。
――ずっと、一緒にいたい……!