恋をした悪魔
しとしと、しとしと。
清浄な湖も、悲しい雨に染まりました。
胸を痛めた水の妖精は、雫のカーテンを撫でながら
青年の家へとやって来ました。
そして、空っぽになってしまった青年に、そっと囁きました。
「どうか悲しまないで。
その七色にきらめく石を、庭に埋めてごらん。
芽が出て、葉が茂り、花が咲いて、実った果実はあなたを生かす。
あの子はあなたの傍にいる」
青年は、不思議な声に導かれるまま、石を庭に埋めました。
リリスのいない、何も見えない世界で、その声だけが
たったひとつの光のように思えたのです。
七色にきらめいていたというリリスの残した石は、
かつてのこの瞳に、どんなふうに映ったのだろう。
視界を閉ざされてしまった青年が、そう思いを巡らせては
底の尽きない涙を流し、心をいっそう枯らしている間に、
庭に緑が芽生え、ぐんぐんと成長して、木になりました。
木はすぐに花を咲かせ、小さな実をつけました。