抹茶な風に誘われて。
「あ、あれ――? 優月ちゃん?」

 六時といってもまだまだ明るい季節だから、見間違いじゃないことは確か。

 でも思わず自転車を止め、目を凝らしてしまったのは、優月ちゃんの服装のせいだった。

 大きな二重の目と、その下にあるホクロという印象的な特徴がなかったら、気づかなかったかもしれないくらいにいつもとは違うのだ。

 私服で会ったことは何度かしかないけど、その時は多少派手かな、と言えるくらいだったメイクや服装が、今日はかなり目立つくらいになっていて――。

 ふわふわロングの茶色い髪の毛が、きつめの巻き髪に。

 そしてパステル系の印象だった服が白と黒のタイトなワンピースに。

 ぱっと見た感じでは高校生とは思えない、よく別の場所で見かける女の人たちのような外見をしている。

「あ、そうだ。亀元さんのお店……!」

 配達を思い出したのもあるけど、確かにあの裏通り辺りを歩いていたり、立って案内をしていたりするお姉さんたち。

 今の優月ちゃんは、彼女たちにそっくりなのだ。

 えっと、あのお姉さんたちは夜のお店で働いている人たちだって亀元さんが教えてくれたよね……?

 ということは、今日言っていたアゲなんとかっていうのは、今優月ちゃんがしている服装みたいなものを言うってことかな?

 ゆっくりと自転車を走らせる私の数メートル前で、優月ちゃんは高いヒールのサンダルをかつかつ鳴らしながら歩いていく。

 その足取りは少し急いでいるようで、顔はずっと前を見て、何かをきょろきょろ探しているように見えた。

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