抹茶な風に誘われて。
「本当の恋には仕事とか年の差とか、そんなもの関係ないのよ……ああ静さまっ、待っていてください。今、優月が行きますわー!」

「行くってどこに行くのよ、優月ってば」

「もちろん彼のやってる茶道教室に決まってんでしょ? もう調べついてんだー、隣町の市民会館で初心者クラス受け持ってるんだって! 昨夜ネットで申し込み済みよっ」

「ひゃーさすが優月! 行動早いね!」

「あんないい男悔しいけど、こうなったら応援するよ」

「えーっ、あたしもそのクラス行っちゃおうかなあ」

「残念でしたー、あたしの申し込みでもう定員締め切り。ついてこないでよねっ、あたしもう本気モード入っちゃったんだからさ」

 あはは、と笑いあうみんなの声が、どこか遠くにこだましているような気がする。

 せっかく拾い集めたペンも、閉め忘れたペンケースからまたばらばらとこぼれ落ちてしまった。

「どしたの、さっきからかをるちゃんなんかぼーっとしてない? なんかあった?」

 咲ちゃんが聞いてくれたのと同時に先生が入ってきて、みんなは自分の席に戻っていく。

 薄く染まった頬を嬉しそうに緩ませて、優月ちゃんも座った。

 そのきらきら光る瞳を斜め後ろから見てしまいながら、私はぎゅっと自分のペンケースを握り締めていた。
 
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