抹茶な風に誘われて。
「やーさすがかをるちゃん、気が利くー! さんきゅーね! で? それ何やってんの?」

「あ、花リボンって言って、アレンジや鉢物の飾りに使うものなんです。ちょっと時間が空いた時にこうして作り置きしておくとすぐ使えて便利なので……」

 ピンク色のリボンでループを作っていく私の手つきを感心したように見つめながら、亀元さんはお茶を飲む。

「時間が空いた時は休憩すればいいのに。やっぱかをるちゃんは真面目だなあ。ま、俺はそんなんだからいつまでも最下位ホストなんだけどさ」

「そんなことないですよ。亀元さんだって、お客様のために小まめにお花を用意してあげたりしてるし、きっとお客様、喜んでいらっしゃいますよ」

「いやー優しい! あ、そうそう、この前もお花のアレンジありがとねー! すっげー綺麗だった。なんか時間なくてちゃんとお礼言えなかったからさ、あの日」

「い、いえ……」

 俯いてしまったのは、あの日のことを思い出したから。

 同時に浮かんでくるのは、今日の優月ちゃんの発言。

 リボンを扱う指先が少し震えて、思わず手を握り締めていた私に気づいたのか、亀元さんがお茶のグラスを置いて、私を覗き込んできた。

「どしたー? なんかあったの? 最近静のやつも忙しいみたいだけど、そのこととか?」

 俺にできることなら何でもするから言ってよ、なんて優しい言葉をかけられて、私はつい口を開いてしまっていた。

 この前の騒動、そして優月ちゃんのこと、全部――亀元さんは口をあんぐり開けたまま聞いていたかと思うと、話し終わる頃にはさもおかしそうな、笑いをこらえたような顔になっていた。

「か、亀元さん?」

「あ、ごめんごめん! 別にかをるちゃんのこと笑ってるわけじゃなくてさ、これでやっと納得っていうかーあの時の静の苦虫噛み潰したみたいな顔の意味がわかったからさー」

「苦虫?」

「うん、あのね――」

 それから亀元さんが話してくれたのは、聞いてみればなんだ、と思うような真相だった。
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