光を背負う、僕ら。―第2楽章―
カーテンが開いた窓から、街灯の蛍光灯が点滅をしながら点くのが見えた。
姿を隠した太陽は、もう今日は現れない。
頼りないぼんやりとした明かりが部屋に入り込むけど、まだまだ暗いまま。
それでも二人とも、電気を点けようとしなかった。
すっかり冷めてしまったレモンティーが、テーブルの上で静かにそのときを待っている。
身体を包み込む空気が冷たい。
「馬鹿だよね。伸一のこと好きなのに、あの人の優しさをいつしか利用するようになっちゃった。あたしがもっと早く離れてたら、こんなことにはならなかったかもしれない。伸一だってもっと早く自分の気持ちに気付けたはず。だから、ごめんね……」
申し訳なさそうに眉を下げて小春ちゃんがあたしを見る。
どうして、小春ちゃんが謝るの……?
小春ちゃんは何も悪くないのに。
好きな人に離れて欲しくないって思うのは当たり前のことだよ。
そう思うけど、胸の奥がぎゅっと締まる感じがして何も言えなかった。
喉に何かが詰まってしまったみたい。
……だって、あたしが言えるわけないよ。
伸一が好きになったのは、たぶん――。
疑惑が現実のものになる気配がして、複雑な気分だった。
「……小春ちゃんが、謝る必要ないよ」
やっと絞り出した声は頼りなくて、それを補うように首を横に振った。
小春ちゃんはあたしのせいで別れたわけじゃないと言ってくれたけど、やっぱりあたしのせいとしか受け止められない。
誰かを好きになって、その誰かに好きになってもらう。
その影で、泣いて悲しむ人がいる。
この関係ほど、残酷なものはないね。