百物語

┣13本目 ボール

それはなんか嫌ですねー。

あっ、行ってらっしゃい〜。

じゃあ、彼は居ませんが…俺の怖い話を。

俺はこれでも教師やってるんですよ。

…まぁ、俺の場合、体育教師ですが。

ある日、俺を含めた職員数人で残業の為に、んー……まぁ、21時近く辺りまで残ってたんですよ。

そしたら、見回りしてた用務員さんが来て…


―体育館でボールをつくような音がしてる―


なんて言うんですよ。


俺、体育教師だったし担当の場所だったんで見に行ったら言う通り…ボールをつく音がしました。


したら、他の先生達も来て…まぁ、ビックリしたわけです。


幽霊ならまだしも…もし誰かが残ってたらヤバいですからね。


鍵を持ってきて開けたら……もちろん誰もいなかった。


ただ…真ん中にボールが一人でに跳ねてましたが。


怖がってた女の先生もいましたが「う、上から落ちてきたんだろう」って、男の先生が言ったので「で、ですよね」と、気のせいで片付けることにしたんです。

全部見ましたが、人っこ一人いないんだから当たり前ですが。


…まっ、聞こえて当然ですよ。


だって…俺には見えたんですもん。


血塗れで寂しそうにボールをつく……男の子が。


――フッ シュポ
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