百物語

┣14本目 空き家

その子も寂しかったんでしょうね。


そう思うと切ないですけど。


では、私は怖い話を。


私、駅の近くに住んでるんですが…


いつも駅まで歩いて通ってました。その途中の道に…草木が生い茂っている一軒家があったんです。

駅の近くにあるわりに、とても古く…人が住んでる気配はない空き家でした。

ホラー好きな私はいつも『なんか出たりして』なんて思いながら歩いてました。

そんなある日…残業で遅くなってしまったので、夜遅くにその場所を通りました。

その家は、いつも明かりはついてなかったんですが…その家に明かりがついていたんです。

『アレ?人が住んでたんだ』

と思って、何気なく二階の窓を見たら……カーテンの隙間から女の人がこっちを見てました。

なんだか、その人だけくっきり見えるんです。

流石に気味が悪くなって、二階から一階に目を移したんです。

そしたら……そこに、さっきの女の人が…逆さまになって、こっちを見てたんです。

首を逆さまにしたとか、そんなレベルではなく…上から上半身だけしか見えませんでしたが、完全に逆さまになってたんです。

流石に走って帰りました。

そして、家に帰って朝に開けていたカーテンを閉めようと窓に近づいたその時…

『!!!!!』


外から私の家を…横から覗くさっきの女の人がいたんです。

目を見開いて…下の方を見ていました。

そこで気絶してしまったんですが…

その日以来、夜にそこを通るのをやめました。

そして、後日、近所の方から

『昔、あの家で逆さまに吊るされて殺された女の人がいた』


と聞きました。

彼女は私についてきて…何を伝えたかったんですかね。

幸い、その日以来、何も起きてませんが……。

――フッ シュポ
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