太陽と雪
もう、嫌!
誰も、私の気持ちをわかってくれない。
パパもママも……
大キライ!!
ついでに……パパたちの仕事も……大嫌い。
法とか正義なんて……
必要ない。
少なくとも私には。
だって……気持ちなんて関係ないんだもん。
あまり考慮されないでしょ?
事件の動機なんて。
藤原のあの事件だって事故で片付けられた。
事件の可能性もあるって私の訴えは、あっけなく却下された。
言われた一言は……
「法廷では証拠が全てだからねぇ……
お嬢ちゃん。
本当に君の言う通り、被害者を、トラックの運転手が意図的に轢いたなら、証拠がないといけないんだ。
人の行動なんて、口では何とでも説明できるからね。
それを裏付けるには、事実を証明しないとダメなんだよ。
分かるかい?お嬢ちゃん。
それが、大人の社会のルールなんだ」
何でも証拠、証拠じゃない。
可能性の全てを検証してみようとか、思わないわけ?
その考えが、理解できなかった。
それに……法や正義で全てが解決できるなんて思わない。
だから……裁判員制度を導入したのはある意味、いい選択よね。
法やら正義。
そんなくだらないものに縛られていては、視野が狭くなってしまうもの。
そんなことを延々と考えながら走った。
ふと行き着いたのは……
藤原が事故に遭った……あの現場だった。
彼が亡くなった場所には、未だに多くの花束が手向けられている。
「藤原。
ごめんね……あまり……来れなくて……
もう貴方が亡くなって10年ね。
私、忘れてないから。
貴方のこと。
誰になんと言われようと……これからもずっと……忘れないから」
あ……また……視界が涙で滲んだ。
手向けられた綺麗な花の色なんて識別出来ないくらいに。
もう涙なんて出ないと思ってたのに。
この場所に来ると、思い出しちゃうんだな。
藤原を。
「寒っ……」
いくら春でも、夜は肌寒い。
勢いで家を飛び出して来ちゃったせいで、コートなんて着ないで出てきた。
寒い。
凍えそうだ。
ふと、体に違和感を覚えた。
嫌というほど感じた寒さは、全く感じなくなっていた。
代わりに……身体がふらつく。
まっすぐ歩いているつもりで、1歩も進んでいない。
視界もぼやけてきた。
身体もだが、頬も火照ってきている。
直感で風邪だと理解する。
矢吹……心配してるんだろうな。
早く帰らなきゃ。
そんな気持ちとは裏腹に、身体は全く動いてくれない。
気力が尽きた。
「彩お嬢様!?」
誰かの胸元に倒れ込んだらしく、暖かい感触がした。
見知った声と、暖かい感触に包まれた矢先、そのまま、意識を失った。
誰も、私の気持ちをわかってくれない。
パパもママも……
大キライ!!
ついでに……パパたちの仕事も……大嫌い。
法とか正義なんて……
必要ない。
少なくとも私には。
だって……気持ちなんて関係ないんだもん。
あまり考慮されないでしょ?
事件の動機なんて。
藤原のあの事件だって事故で片付けられた。
事件の可能性もあるって私の訴えは、あっけなく却下された。
言われた一言は……
「法廷では証拠が全てだからねぇ……
お嬢ちゃん。
本当に君の言う通り、被害者を、トラックの運転手が意図的に轢いたなら、証拠がないといけないんだ。
人の行動なんて、口では何とでも説明できるからね。
それを裏付けるには、事実を証明しないとダメなんだよ。
分かるかい?お嬢ちゃん。
それが、大人の社会のルールなんだ」
何でも証拠、証拠じゃない。
可能性の全てを検証してみようとか、思わないわけ?
その考えが、理解できなかった。
それに……法や正義で全てが解決できるなんて思わない。
だから……裁判員制度を導入したのはある意味、いい選択よね。
法やら正義。
そんなくだらないものに縛られていては、視野が狭くなってしまうもの。
そんなことを延々と考えながら走った。
ふと行き着いたのは……
藤原が事故に遭った……あの現場だった。
彼が亡くなった場所には、未だに多くの花束が手向けられている。
「藤原。
ごめんね……あまり……来れなくて……
もう貴方が亡くなって10年ね。
私、忘れてないから。
貴方のこと。
誰になんと言われようと……これからもずっと……忘れないから」
あ……また……視界が涙で滲んだ。
手向けられた綺麗な花の色なんて識別出来ないくらいに。
もう涙なんて出ないと思ってたのに。
この場所に来ると、思い出しちゃうんだな。
藤原を。
「寒っ……」
いくら春でも、夜は肌寒い。
勢いで家を飛び出して来ちゃったせいで、コートなんて着ないで出てきた。
寒い。
凍えそうだ。
ふと、体に違和感を覚えた。
嫌というほど感じた寒さは、全く感じなくなっていた。
代わりに……身体がふらつく。
まっすぐ歩いているつもりで、1歩も進んでいない。
視界もぼやけてきた。
身体もだが、頬も火照ってきている。
直感で風邪だと理解する。
矢吹……心配してるんだろうな。
早く帰らなきゃ。
そんな気持ちとは裏腹に、身体は全く動いてくれない。
気力が尽きた。
「彩お嬢様!?」
誰かの胸元に倒れ込んだらしく、暖かい感触がした。
見知った声と、暖かい感触に包まれた矢先、そのまま、意識を失った。