太陽と雪
それから何分経っただろうか。
「あのさ……麗眞……?
もう……入ってきていいよ……?」
ひょっこりと、ドアから顔を覗かせた椎菜がそこにいた。
「あ、何?
もういいの?」
「うん。
あ……でも、あんまりじーっと見ないでね?
髪なんて軽くとかしただけだし、すっぴんだから……恥ずかしい!」
「分かってる。
すっぴんでもなんでも椎菜は可愛いけどね」
そんなことを、彼女を軽く引き寄せてからわざと耳元で言ってやる。
案の定、顔真っ赤にしちゃってさ。
朝からそんな可愛い顔されても俺が困るんだけどな……
「ごめんね?
気付いてあげられなくて……
着替え手元になくて困ったでしょ……」
「ううん、麗眞が気にすることじゃないし」
いや、そう言われてもね?
俺は気にするから。
「とりあえず、お腹空いてない?」
俺がそう聞くと、肯定の合図のように俺に抱きつく。
朝からやめてほしい。
朝は制御できないのだ。
どこを、というのは暗黙の了解だが。
「なるべく早く用意させるからさ、それまでここにいようか」
あんなことがあった後だ。
椎菜にはなるべくこの家から出させたくないし、俺の目の届くところにいてほしい。
これって過保護すぎるかな?
束縛になっちゃうかな。
椎菜は束縛するのもされるのも嫌いだから、少し不安になる。
「うん。
私も麗眞と離れたくない。
だって会えない間本当に寂しかった。
会えなかった分の時間取り戻そうとか、そんな軽い気持ちじゃないけど」
「ね、朝から俺の前でそんな可愛いこと言っていいの?」
「何よ、ホントのこと言っただけじゃん」
そう言って下を向いた椎菜の目からは一筋、涙がこぼれていた。
「椎菜……?
泣いてんの?」
「泣いてないっ!
コンタクトがずれただけっ!」
強がってるのバレバレだけど。
椎菜が嘘言ってるときは耳赤くなるし。
「バレバレだよ?
ちょっとは俺に頼れよ」
椎菜を俺の腕の中に収める。
今ここで相沢来たらマズイな……
高沢と違って相沢は空気読めないからな…
すると案の定、コンコンとドアを叩く音。
ホラ、来た。
「麗眞坊ちゃま、椎菜さま。
ご朝食をお持ち致しました」
相沢、タイミング考えろよな……
「ん」
適当に返事をすると、相沢が部屋に入って来る。
言わなくても分かったのだろうか、椎菜からわざと遠い位置に食器の類を置いていく。
「では、ごゆっくり」
うやうやしく一礼して、静かに部屋を出ていく。
「ね、麗眞……
元の……私たちのこといっつも心配して気遣ってくれてた頃の両親に戻るよね」
「戻るに決まってる……じゃない、戻してやるよ。
俺と姉さんと美崎さんと、親父とおふくろも尽力してるし。
絶対戻してやるからな。
椎菜は何も心配しなくていいから」
軽くキスを落としてやる。
「安心した?」
俺の言葉に頷いた椎菜は、ご飯食べようなんて言ってきた。
軽いキスだけで留めた自分を褒めてやりたいくらいだ。
椎菜が食べられそうな分量だけ先に取り分けてやる。
嫌いなものがないのは感心なんだけど、なにしろ小食なのが困りものだ。
自分の分を食べ終えたらしい椎菜。
俺が食事し終わるのを待ってから、麗眞のこのお家ってなんでもあるから、この家にしばらく居たいと切り出した。
さすがにショッピングモールはないけど、エステとかサロン。
プールとかスポーツジム的なところとか、カラオケルームからゲーセン的設備まで。
なんでもあるからね……
大抵の女子にとっては夢みたいな場所なんじゃないかな。
「好きなだけ居な?
結婚してもさ、ここに居るか宝月家の別荘のほうに住むかは選べるし」
「ありがとう、麗眞」
そう言って俺の膝に寝転がってくる椎菜。
……犬みたい。
可愛い。
ちょっと意地悪してやろうと彼女の唇に顔を寄せた瞬間、のことだった。
静かだった部屋にピンポーン、という無機質な音が響き渡った。
誰だ?
誰か来るなんて、親父もおふくろも言っていなかった。
というか、誰だか知らないが空気読め!
「そのままお待ちを。
私が行って参りますので」
こういうときの相沢は執事の貫録たっぷりで頼もしい。
ホントに誰なんだ?
「あのさ……麗眞……?
もう……入ってきていいよ……?」
ひょっこりと、ドアから顔を覗かせた椎菜がそこにいた。
「あ、何?
もういいの?」
「うん。
あ……でも、あんまりじーっと見ないでね?
髪なんて軽くとかしただけだし、すっぴんだから……恥ずかしい!」
「分かってる。
すっぴんでもなんでも椎菜は可愛いけどね」
そんなことを、彼女を軽く引き寄せてからわざと耳元で言ってやる。
案の定、顔真っ赤にしちゃってさ。
朝からそんな可愛い顔されても俺が困るんだけどな……
「ごめんね?
気付いてあげられなくて……
着替え手元になくて困ったでしょ……」
「ううん、麗眞が気にすることじゃないし」
いや、そう言われてもね?
俺は気にするから。
「とりあえず、お腹空いてない?」
俺がそう聞くと、肯定の合図のように俺に抱きつく。
朝からやめてほしい。
朝は制御できないのだ。
どこを、というのは暗黙の了解だが。
「なるべく早く用意させるからさ、それまでここにいようか」
あんなことがあった後だ。
椎菜にはなるべくこの家から出させたくないし、俺の目の届くところにいてほしい。
これって過保護すぎるかな?
束縛になっちゃうかな。
椎菜は束縛するのもされるのも嫌いだから、少し不安になる。
「うん。
私も麗眞と離れたくない。
だって会えない間本当に寂しかった。
会えなかった分の時間取り戻そうとか、そんな軽い気持ちじゃないけど」
「ね、朝から俺の前でそんな可愛いこと言っていいの?」
「何よ、ホントのこと言っただけじゃん」
そう言って下を向いた椎菜の目からは一筋、涙がこぼれていた。
「椎菜……?
泣いてんの?」
「泣いてないっ!
コンタクトがずれただけっ!」
強がってるのバレバレだけど。
椎菜が嘘言ってるときは耳赤くなるし。
「バレバレだよ?
ちょっとは俺に頼れよ」
椎菜を俺の腕の中に収める。
今ここで相沢来たらマズイな……
高沢と違って相沢は空気読めないからな…
すると案の定、コンコンとドアを叩く音。
ホラ、来た。
「麗眞坊ちゃま、椎菜さま。
ご朝食をお持ち致しました」
相沢、タイミング考えろよな……
「ん」
適当に返事をすると、相沢が部屋に入って来る。
言わなくても分かったのだろうか、椎菜からわざと遠い位置に食器の類を置いていく。
「では、ごゆっくり」
うやうやしく一礼して、静かに部屋を出ていく。
「ね、麗眞……
元の……私たちのこといっつも心配して気遣ってくれてた頃の両親に戻るよね」
「戻るに決まってる……じゃない、戻してやるよ。
俺と姉さんと美崎さんと、親父とおふくろも尽力してるし。
絶対戻してやるからな。
椎菜は何も心配しなくていいから」
軽くキスを落としてやる。
「安心した?」
俺の言葉に頷いた椎菜は、ご飯食べようなんて言ってきた。
軽いキスだけで留めた自分を褒めてやりたいくらいだ。
椎菜が食べられそうな分量だけ先に取り分けてやる。
嫌いなものがないのは感心なんだけど、なにしろ小食なのが困りものだ。
自分の分を食べ終えたらしい椎菜。
俺が食事し終わるのを待ってから、麗眞のこのお家ってなんでもあるから、この家にしばらく居たいと切り出した。
さすがにショッピングモールはないけど、エステとかサロン。
プールとかスポーツジム的なところとか、カラオケルームからゲーセン的設備まで。
なんでもあるからね……
大抵の女子にとっては夢みたいな場所なんじゃないかな。
「好きなだけ居な?
結婚してもさ、ここに居るか宝月家の別荘のほうに住むかは選べるし」
「ありがとう、麗眞」
そう言って俺の膝に寝転がってくる椎菜。
……犬みたい。
可愛い。
ちょっと意地悪してやろうと彼女の唇に顔を寄せた瞬間、のことだった。
静かだった部屋にピンポーン、という無機質な音が響き渡った。
誰だ?
誰か来るなんて、親父もおふくろも言っていなかった。
というか、誰だか知らないが空気読め!
「そのままお待ちを。
私が行って参りますので」
こういうときの相沢は執事の貫録たっぷりで頼もしい。
ホントに誰なんだ?