太陽と雪
ん……


カーテン越しの、眩しすぎる光に目覚めさせられた。


あら?


隣にいたはずの矢吹がいないわ。



まさか……

何かあったのかしら。



急いでベッドを降りる。

ドアの開く音がして、誰かにぶつかった。


「うわっ……

いてっ。

誰だよビックリしたな……
って、姉さんかよ」


「麗眞?
何でここに……」


「姉さんの婚約を破談にしてやったのに、その言い方はないだろ……

苦労したんだぜ?


ってか、早く来いよ。

もう昼だよ?

時間的には、ブランチの時間だけど。

姉さんの分の飯、食堂にあるぜ」


はい?


どうりで、外が明るいと思ったわ……



もう、お昼だったのね……



外に出てみると、男女の声がした。

矢吹の声だけは、かろうじて聞き取れる。

話しているのは3人のようだ。


和之さんと悠月さんが、車に乗り込むところだった。

使用人が彼らの家まで車で送るという。

「もう帰るの?

良かったら私の屋敷にでも泊まって行けばいいのに」

「大丈夫。

お嬢様には十分、お世話になったし。

麗眞くんにもね」

彼女らは麗眞と何やら真剣に話し込んでいる。

招待状やら何やら、何の話?

「いろいろありがとう、彩さん。

今度は僕たちの番だ。

なにか音楽のことで困ったら、僕たちに連絡をくれれば、力になるよ」


「お礼を言われるほどのことはしていないわ。

こちらこそ、また何かあったら、力になってやらんこともない。

幸せになりなさいよ」

そう言って、和之さんたちを見送った。
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