太陽と雪
サプライズでの挙式なので、深月ちゃんと道明の2人を引き離すのも大変だった。

そこは深月ちゃんの母親や、華恵さんが協力してくれた。

支度を終えるのを待つ間に、プロジェクターにはプロフィールビデオが映った。

TV番組の1コーナー風に編集されていたそれは、美冬ちゃんや賢人たちレジェンドの協力を得て作成したもののようだ。

ホントに、いつそんな時間あったんだ?

そういえば、何度か美冬ちゃんと賢人が愛娘の美香ちゃんを連れて宝月の屋敷に来たことがあった。

映像の編集で昨夜から徹夜したんだと言っていた。

美香ちゃんを屋敷にいたチャイルドマインダーに預けて美冬ちゃんを寝かせてあげたことがあった。

きっとその時か。

高校の時から変わってないな。
友人の為なら自分を犠牲にするところ。

美冬ちゃんの負担を減らす為に賢人も徹夜していたようだったので、ゆっくりしろと何日か屋敷に泊めたのを思い出した。


映像が一瞬途切れた後に、別の映像が映る。

その中には道明から、深月ちゃんへのプロポーズの様子が、収められていた。

しかも、本人たちの再現ドラマで。

ストリートピアノの前に座った道明は、弾き語りでオリジナルソングを歌い出した。

弾き語りを終えると、どこからか小さな小箱を取り出し、その中身を彼女だけに見せる。

「深月。

一生深月と一緒にいたい。

俺と結婚して下さい」

深月ちゃんは、ぎゅっと道明に抱きついてから、言葉を紡いだ。

「こちらこそ、これからは夫婦として宜しくお願いします。

患者さん達が戸惑うから、仕事中は旧姓を使用するけれど、それ以外はちゃんと道明の苗字を名乗りたい。

一緒に幸せになろうね、道明」

彼女らしい返事の仕方だった。

高校生の頃の写真から、俺の知らない、大学時代の深月ちゃんと道明の様子が映し出された映像のエンドロールが終わる。

それと同時に、今回の主役の2人が登場した。

2人共、いきなりのウエディングドレス&タキシード姿だからか、少し緊張している。

誓いのキスをするまでの時間も、何度も恥ずかしそうに下を向いていた。

大勢の観衆に見守られているからだろうか。

乾杯の音頭は、椎菜がとった。

『この度は、ご結婚おめでとうございます。

先程、素敵な挙式と披露宴を迎えられたのも、お2人の尽力あってのことです。

お2人には、感謝してもし尽くせません。

学生時代から、新郎新婦を同級生として見守ってきました。

私は旦那に遠慮して自分の気持ちを上手く言えないことが多くありました。

そんな時、私の話を聞いてくれて、たくさんのアドバイスを貰えたことは、私を成長させてくれました。

そんなお2人ですから、お互いに意見を言い合える、温かい家庭を築くことが出来ると信じています。

お2人の幸せを願って、乾杯!」

椎菜はワインに似せたぶどうジュースの入ったグラスを掲げて、音頭を締めくくった。

さすが俺の奥さん。

後で甘いご褒美をあげないとな。

< 260 / 267 >

この作品をシェア

pagetop