太陽と雪

ｺﾝｺﾝｺﾝ……


何の音……？

規則正しく、ドアがノックされる音……
この音で、いつも起きる……

ん？

この音でいつも起きる!?


｢しまった！
矢吹のノックの音……ってことは……！」


今何時？

慌てて時計を確認する。


時計の針は、7時30分をさしている。


｢お嬢様、お目覚めですか？

麗眞さまは、もう朝食を済まされたようです。

お嬢様の朝食が済み次第、もう一方のテーマパークに向かうそうです｣


｢もう一方の……？｣


｢はい。

確か……そのテーマパークでしか販売されていない熊のキャラクターグッズが豊富というお話で。

昨夜の彩お嬢様はすごく楽しみにされていらっしゃいました。

華恵さまにもお土産で買っていただいて、お部屋にたくさん飾ってあるかと｣


｢そうよ！

早く行かなきゃじゃない！

なんせ可愛いからね､すぐ売り切れちゃうの｣

スキップせんばかりの勢いで、レストランに向かう。

靴擦れの痛みは、とっくに消えていた。


レストランに着くと、私の優秀で誠実な執事に命じた。


｢矢吹。

片っ端から､私の好きそうなメニュー、お皿に盛ってきてちょうだい！」


執事なら……主の好みくらい分かって当然よ。


レストラン来ても主と一緒に食事するワケでもなく、一緒に座ってくれるだけ。

味気ないわ。

これくらいはしてもらわないと。


そして、お皿に乗る料理は、私の大好物ばかりだった。


｢さすが矢吹。
バッチリじゃない｣


一礼する矢吹を横目に、食事を終えた私は、麗眞と相沢さんが待つエントランスに向かった。


｢お嬢様｡
お着替えはよろしいのですか？｣


あ……

忘れてた。


仕方なく部屋に戻って着替える。


着替えや髪のセット、メイクを終えて、今度こそ麗眞と相沢さんがいるエントランスに向かった。