十三日間
その階段は、十三段あるらしい。
この部屋に居る日数と、同じに。
その階段を一歩ずつ登り、てっぺんに待つ絞首台に向かうのだ。

隣のじぃさんは、自分はまだ見たことがないくせに、階段や、その絞首台について、やたら詳しく知っていた。
俺が来る前に、看守たちや、その前に部屋に居た人物に聞いたに違いない。

俺は、じぃさんから、階段について教わったのだ。

両脇をかかえられて階段の下まで着くと、そこで手を離される。
階段は、自分の足で、一人きりで登らなくてはならないのだ。
周りを、銃を持った多数の看守に囲まれているから、逃げ出すことはできない。
あまつさえ、両足は、階段を登る余裕を残して、繋がれている。
両手も前で縛られたまま。
階段の下で手を離された後、希望すれば目隠しをして貰える。

目隠ししたまま階段を登るなんて危ないと思うだろが、逆にその方が良かったりするのだ。

一歩ずつ階段を登っていくと、絞首台がだんだんはっきり見えてくるからだ。
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