十三日間
「しょうがないんじゃないのか。何日か前から怯えていたようだったしな」
俺がそう答えると、じぃさんは驚いたようだった。
「怯えていた? 何で判ったんだね? …まぁ、怯えるのは当然といえば当然なんだが…」
納得いかない、といった様子の声。
「ずいぶん俺の様子にも神経質になっていたしな。絶えず部屋の中を歩き回っている物音もしていたし。息づかいも終始荒かった。夜中にうなされてもいたようだし…」
夜中の事は、あまり人のことは言えないのだが。それでも、俺は人より眠る時間は少ないので、起きている時間は隣のおっさんの様子くらい判る。
昼間のおっさんの状態は、隣にいる俺には手に取るように聞こえてきた。
もともと仕事柄、あたりに気を配る性質だったが、ここにいると他にやることがない。
看守たちが来る時には彼らを観察し、物音がすれば、両隣のおっさんやじぃさんの様子を推察する。
それ以外の時間は、自分の過去を振り返ったり、考えたりして過ごしている。
考え事をしていても、物音は耳に入ってくるから、必然的におっさんの様子も判るというものだ。
「そうか…まぁ、それはそうだろうな…」
じぃさんは、俺の返事を聞くと、ため息をついた。
あと何日もたたずに、自分にも訪れるその日。
じぃさんの頭の中にはその想いが渦巻いているに違いない。
俺がそう答えると、じぃさんは驚いたようだった。
「怯えていた? 何で判ったんだね? …まぁ、怯えるのは当然といえば当然なんだが…」
納得いかない、といった様子の声。
「ずいぶん俺の様子にも神経質になっていたしな。絶えず部屋の中を歩き回っている物音もしていたし。息づかいも終始荒かった。夜中にうなされてもいたようだし…」
夜中の事は、あまり人のことは言えないのだが。それでも、俺は人より眠る時間は少ないので、起きている時間は隣のおっさんの様子くらい判る。
昼間のおっさんの状態は、隣にいる俺には手に取るように聞こえてきた。
もともと仕事柄、あたりに気を配る性質だったが、ここにいると他にやることがない。
看守たちが来る時には彼らを観察し、物音がすれば、両隣のおっさんやじぃさんの様子を推察する。
それ以外の時間は、自分の過去を振り返ったり、考えたりして過ごしている。
考え事をしていても、物音は耳に入ってくるから、必然的におっさんの様子も判るというものだ。
「そうか…まぁ、それはそうだろうな…」
じぃさんは、俺の返事を聞くと、ため息をついた。
あと何日もたたずに、自分にも訪れるその日。
じぃさんの頭の中にはその想いが渦巻いているに違いない。