十三日間
「いや、それにしてもだな、あんなにならなくてもなぁ…」
じぃさんは、まだぶつぶつと呟いていた。

おっさんはあれだけ取り乱していたのだから、きっと階段を見たら、もっと大変なことになっただろう。
無事に階段を登り切れたのだろうか。

それにしても、ここでは何故、自分の足で階段を登らせるのだろう?

誰も側に付き添わず、たった一人で。

俺は、無駄な考えに首を振った。
いずれ判ることだ。
おそらく、その時が来れば。

「階段を登る体力が、その時に残っているかのぅ…」
じぃさんは、しんみりと最後にそう呟くと、黙ってしまった。

おっさんといい、じぃさんといい、何故ここにいるのかは、聞かなかった。
俺も聞かれてはいない。
ここにいる者の、暗黙のルールなのだろう。

理由は問わない、と。

俺も、一つため息をつくと、昼間からめずらしく、ベッドに身体を横たえた。
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