。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「うん!!一緒にやってくれるなら、お願いし

ます♪」

「じゃあ、明日から。授業終わり次第、ここ

でね」

「わかったぁ」

「あっ…奏歌ちゃん」

「ん?」

「俺のことは、尚斗って呼んで?」

「じゃあ…尚斗クンね!!」

「クンいらない」

「それは…あたしが照れるので。尚斗クンで

お願いします」

「わかった。じゃあ、送るね」

「えっ?」

「家、近いみたいだから」

「知ってるの?あたしの家、どこか」

「うん。たまたま家に帰ろうとしたら、前に

奏歌ちゃんが歩いてて、家知っちゃった」

「そうなの?じゃあ、一緒に帰ろ」

いつの間にか、冬になってしまった外に出る

と、冬の空には、星が輝いていた。

「この時間になると、寒いね~」

はぁっと、息を吐くと、白くなる。

「だなっ。俺、寒いの嫌いっ」

ガタガタと震えた尚斗クンが、寒そうに話し

た。

寒いの嫌いなら…マフラー持ってくればいい

のに。

あっ…

「あたしのマフラー、貸してあげる」

今日、梨那と遊んだ時に忘れたマフラー返し

てもらって、ふたつあるし。

「でも、奏歌ちゃんの分っ…」

「あたし、ふたつ持ってるから。白い方、貸

してあげる」

遊ぶようのマフラーは、ピンクで可愛いんだ

けど、学校にピンクはね…

今つけてるのは、白い方で。

1回取らないとだけど、尚斗クンがピンクな

わけにはいかないし…

「はいっ」

あたしが、少し寒くなりつつ渡すと、喜んで

受け取ってくれた。

「奏歌ちゃんの体温が、まだ残ってる」

「あ~、気持ち悪い?」

「違うよ。あったかい」

「そっか。早く帰ろ?」

ふたりで並んで、話ながら帰るのは久しぶり

だった。

奏…以来だった。

最近はほとんど、お兄ちゃんがバイクで迎え

に来てくれてた。

「俺、木曜日だけ、他のクラスより授業数が

多くあるから、その日は、休みにしよ?」

「うん。わかった」

「土曜日どうする?」

「ん~、土曜日は…ファミレスとか、話やす

いところで、1週間のまとめしてもらいたい

な~」

「わかった。じゃあ、そうしよう」

「ごめんね?わがまま言っちゃって」

「ううん。人に教えた方が、理解力が高まる

って言うし、俺は楽しいから」

「そっか。ありがとう」

その後も、他愛もない話をして、家の前まで

着いた。

「送ってくれて、ありがと。あと、これから

よろしくお願いします」

「奏歌」

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