。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

結愛の言葉の意味

なんで、結愛が死んだらなんて聞いたのか、

わからなかった。

だけど、今、その理由がわかった。




家に帰ったら、姉貴が走ってきた。

「儚っ…結愛ちゃんがっ………」

「っ…嘘だろ!?」

「とにかく、結愛ちゃんの家に行かなきゃっ



「…あぁ」

なんでだよ!!

なんで、結愛が…




家につくと、結愛のお母さんが目をはらして

、俺の方に近寄ってきた。

「儚くんに渡してって…」

結愛の可愛い、儚へっていう字が書いてある

手紙を渡された。

「結愛…」

君は、本当に死んでしまったの?


『儚へ

今、この手紙を読んでるってことは

あたし、死んじゃったんだぁ…

あたしね、なんとなくだけど

自分が死んじゃうことがわかってた



儚は、あたしが変になってることに

気づいてくれてたよね

ありがとう

理由、言えなくてごめんね

たぶん、あたしがこの手紙を書いたのは

今、儚が読んでる前の日

儚なら、あたしが変なことの理由を

聞いてくると思ってたんだ


あたし、最近カメラ買ったでしょ?

あれね、最近あたし…

ストーカーされてたの

犯人は、ここら辺にすんでる

ホームレスなの

写真とって、証拠を警察に

渡そうと思ってたんだけど…

あたし、死んじゃったんだね

儚には、言おうと思ってたんだけど

儚が無理して、怪我したらイヤだった

自分勝手でごめんね


最後に、聞いて

儚のことを愛してました

遠くに行っても、愛してるよ



あと、このカメラはあげる

あたしたちの思い出が詰まってるから』


「結愛…結愛!!」

「…儚くん」

「結愛…結愛、結愛、結愛…」

「儚!!」

「姉貴…結愛が…」

「わかってるよ、あんたの気持ち。けど…」

「なんでだよ…なんでだよ…」

「あんたが、悲しんでたら…結愛ちゃんが悲

しむよ」

姉貴が、冷静なのがムカつく。

涙が止まらないのも…ムカつく。

「あっ…」

約束したんだ。

「………待っててね、結愛」

約束、守るから。

俺、結愛を迎えに行くからな。

待ってろよ―…
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