接吻ーkissー
でも…嫌な予感は、だいたい的中する。

いい予感は特に的中しないのになと、心の中で呟いた。

「――わたしが、レイプされたこと」

静かな…だけど冷たい声で、由良が言った。

「――えっ?」

かすれた声で聞き返した私に、
「璃音は何でも表現できるんだよ。

顔でも、雰囲気でも」

由良は悲しそうに笑いながら言った。

キーンコーンカーンコーン

昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴っても、私は動かなかった。

いや、動けなかったと言う方が正解だ。

由良も、その場から動こうとはしなかった。
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