接吻ーkissー
突然の怒鳴り声に、私の躰がビクッと震えた。

「璃音の口から彼氏――男の話なんか聞きたくない!」

「ゆ、由良…?」

私がいけないの?

私が竜之さんの話をしたから、由良は怒っているの?

「わたしと彼氏、どっちが大事だって言うの!?

璃音はわたしのことを何にも思ってないの!?」

「――由良…」

叫ぶように言っている由良に、私はどうすることもできなかった。

違うよ、由良。

由良も竜之さんも、私にとって大事な人だよ。

由良は親友で、竜之さんは恋人――どっちも私にとって、大事な人だよ。

何にも思ってない訳ないじゃない。
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