接吻ーkissー
「うわの空で何を考えてたんだ?」

そう聞かれたと思ったら、竜之さんに顔を覗き込まれた。

ちょっと、近いです。

余計に考えを読まれるのはごめんだ。

「すみません…。

ピアノ、すごくよかったです」

我ながらごまかしたと言うような言い方である。

「そうか」

竜之さんは微笑んだ後、私の頭を優しくなでてくれた。

「そろそろ行くか?」

「はい」

竜之さんに腕をひかれるように、椅子から腰をあげた。

足元は、少しだけフワフワとしていた。
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